動物に対する考え方は、自然環境や宗教、文化によって形成される。

和辻哲郎
(わつじてつろう:哲学者1889-1960)
風土が人間の性格を規定するとして、世界の風土を以下の3つの類型に分類。

砂漠型・・・厳しい自然条件:アフリカ、アラビア
→動物を敵対するものと考える。

牧場型・・・穏やかな自然:ヨーロッパ
→動物を支配・コントロールできるものと考える。

モンスーン型・・・四季の変化あり、自然の恵みが豊か・台風などの自然の猛威:アジア
自然に対して受容的な態度をとる傾向がある。

1.日本人の動物観

仏教(538年に伝来)の影響を強く受ける。
輪廻転生(=命あるものの肉体は滅んでも魂は別の肉体に移って、車輪が回るように
果てしなく生死を重ねていく)の考え方や、不殺生の戒律(=すべての生き物を殺しては
ならない)がある。

・日本の昔話:人と動物は同格(美女に化けたツルなど、動物が人に化ける話が多くある)

・西洋の童話:人と動物は不連続(動物が人に化ける話はほとんどない)

 2.西洋人の動物観

西洋文明の基礎の一つとなっているヘブライ思想は、人間が動物を支配することを明確に
認めている。

(1)人間支配の動物観

『旧約聖書』
”神は海の魚と空の鳥と地上の全ての生き物を作った後、神の形に似せて人間を創り
次のように言われました。「産めよ、増えよ、地に満ちて地を従わせよ。海の魚、空の鳥
地の上を這う生き物すべてを支配せよ」と。
また、大洪水の後には、神はノアとその子供たちを祝福して、「すべての生きて動くものは
あなたたちの食料とするがよい」と言われて、人間に動物を食べることを許しました。

(2)人間優位の動物観

アリストテレス(紀元前 ギリシャの哲学者)
人間の優位思想
→「動物には理性がない。利用されるために存在する。

トマス・アクィナス(13世紀 キリスト教の神学者)
『神学大全』
不完全なものは完全なもののために存在する。
動物は人のための資源である。
本主張が20世紀に至るまでローマ・カトリック教会の正式見解となった。

(3)動物機械論

ルネ・デカルト(17世紀 フランス哲学者)
動物機械論
→「動物は自動機械である
動物は時計と同じ原理によって支配されている。
時計は人間が作った機械であるのに対して、動物は神が作った複雑な機械である。

”動物には言葉がないから理性がない
→理性がないから心がない
→心がないから意識がない
→意識がないから感覚がない
→感覚がないから痛みを感じない”

(4)功利主義的動物観

ジェレミー・ベンサム(18世紀  イギリス哲学者)
功利主義の道徳哲学
正しい行為とはこの世の中にできるだけ多くの幸福をもたらす行為である
→最大多数の最大幸福が社会の善である。
幸福とは精神的、肉体的な痛みや苦しみのない状態である
→動物が痛みや苦しみを受けないようにしなければならない。それが人間の道徳的義務である。

(5)生命への畏敬

アルベルト・シュヴァイツァー(20世紀  フランス神学者、哲学者、医師)
生命への畏敬の理念
生命そのものが神聖である
・何かの生命を殺傷する場合、それがやむを得ないかどうかをはっきり知っていなけらばならない。
→人類のためにかかる犠牲を一つの動物に課するという必然性が果たしてあるかどうかを
個々のケースについて考慮しなければならない。
・できる限り苦痛を軽減するように細かく心遣いをしなければならない。
→動物を実験動物
として利用し、その苦痛によって貴重な情報が得られたならば、このことによって人間と
動物の間に連帯関係が作り出される。

 以上

 

 


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