「社会化」とは
- 生まれてきた個体がその種特有の社会行動パターンを身につけていく過程
- 犬や猫などの愛玩動物では同種の他個体だけでなく、飼い主である人間との社会関
係も身につけなければならない点が野生動物と決定的に違う
1.犬の社会化
(1)新生子期(出生~生後14日前後)
母犬に完全依存
- 眼や耳も開いておらず、排泄には母犬の舐める刺激が必要
- 触覚刺激は成長後の行動(特に不安行動やストレス内分泌反応)に大きく影響
- 人との接触も役に立つ
→優しく抱いたり撫でたりする機会をもつことが、感覚器官やそれを制御する神経系
統に刺激を与え、その行動の発達に役立つ - 母犬から長時間引き離さない
(2)移行期(生後14日前後~21日前後)
感覚器や脳神経系が急激に発達し、外界への反応が急激に変化する時期
- まぶたが開き、聴覚も3週齢くらいで急速に発達する
- 立ち上がり歩行も可能になる
→寝場所から少し離れたところに行き、自ら排泄するようになる - 3週齢くらいから徐々に離乳が始まり、少しずつ母犬は子犬から離れ始める
(3)社会期(生後3週齢~生後12週齢前後)
3週齢前後で中枢神経系が完成し、環境、特に同種個体に対して成犬と同様に反
応するようになる
→自分が犬であること、また犬として他の犬に対してどうふるまうべきかを学ぶ。
また、飼い主である人間やその他の人間に対してもどうふるまうかを学んでいく。
1)社会化の前期
- 3~4週齢: 探索行動が急激に活発になる
- 5週齢~: 遊びの頻度が高くなる(遊びを通じてコミュニケーションや咬みつき抑
制を学ぶ)
※6~8週齢前後まで母犬や兄弟姉妹から離すべきでない
2)社会化の後期
- 同種動物である犬との隔離が12週齢まで続くと、他の犬に対して恐怖や攻撃を示
すようになる - 16週齢までに人間との接触がなかった場合、社会化が困難になる
- 新奇なものへの警戒は8~10週齢で高くなる
※移行抗体が少なくなる時期であり、感染症のリスクが高くなる時期であるが、で
きる限りの社会化(だっこして短時間の散歩を行う、近隣の人にフードを与えてもら
うなど)を行うべきである
(4)若年期(社会化期の終了~性成熟の前)
- 飛躍的に運動能力が向上し、興奮しやすい
- 周囲への注意力も発達する(≒集中力が持続しない)ため、子犬のときにしつけた
はずのことができなくなるようにみえる - 飼い主が犬の行動について問題視するのもこの時期からである
2.猫の社会化
(1)新生子期(出生~生後2週齢)
母猫に完全依存
→母親との関係も受け身であり、兄弟姉妹との関係も乳首をめぐる競合だけなので
社会化はほとんど起こっていない
(2)移行期(生後2週齢~3週齢)
→あるのか否か、はっきりしていない
(3)社会期(生後2週齢、あるいは3週齢~9週齢)
感覚器や運動機能が発達し、母猫との関係も積極的になり、兄弟姉妹との社会的
な遊びが見られるようになる。
※猫の社会化は、犬より早く始まり早く終わる
以上
スポンサードリンク