1.しつけと訓練の違い
  • 訓練
    警察犬や麻薬探知犬などのように、その犬の持つ能力や特性を生かし、犬に特定の
    分野の作業をさせるため一連の行動パターンを身につけさせるための学習
  • しつけ
    飼い主と犬との間に適正な社会関係を築き、飼い主が犬を常にコントロールできるよ
    うにし、家庭犬としてのマナーを身につけさせる学習をさせるとともに、その犬が見知
    らぬ人や他の犬猫などに出会っても平和的、かつ友好的に共存していけるように、犬
    に好ましい社会的反応性を身につけさせること

 2.犬のしつけの選び方
  1. その犬にとって最もやさしい学習の方法を選ぶ
    →しつけだからと言ってむやみに犬を叱ったり、乱暴に扱わない
    体罰は用いない
  2. 飼い主家族全員が簡単にできる方法を選ぶ
  3. 飼い主にも犬にもその環境にも安全である
  4. トレーニングの効率性や合理性を考慮する
 3.学習の初期の考え方

最初にすべきことは、飼い主が要求する言葉(=号令)の意味を犬にわかりやすく教
えることである
→その反応(行動)生じやすくする方法として、補助的な刺激(プロンプト)を用いる。

  • 身体的誘導法
    前段階として十分に犬をハンドリングして、どこを触られたり抑えたりしても犬が
    嫌がらないようにしておく
    →乱暴な誘導は犬の学習に支障をきたす
  • ルアートレーニング法
    食べ物などのルアーを使って誘導する

いずれの方法においてもプロンプトを漸進(ぜんしん)的に省略していく(フェイディ
ング)ことが大切

 4.強化子と強化スケジュール
  • 強化子
    オペラント条件づけで反応に強化をあたえるもの
    1)無条件性(一次)強化子: 生得的に強化子になるもの
    →食べ物、遊び、自由に行動することなど
    2)条件性(二次)強化子: 強化の働きを経験によって得たもの
    →ほめ言葉やクリッカートレーニングで用いるクリッカーなど
  • 生活の中の報酬(ライフリワード)
    その犬が生活の中で最も喜ぶことをごほうびとして選択する
    →飼い主は犬をよく観察して、本当に喜ぶことを見極めてリストアップしておく
  • 強化スケジュール
    1)連続強化スケジュール
    行動が定着するまでは、連続で強化子を与え続けたほうが動物は早く学習する
    2)間欠強化スケジュール
    いったんその行動が定着したら、その強化を断続的にしたほうが、その行動の
    消去抵抗は上がる
    →その強化の比率を固定する(固定比率強化)のではなく、その比率を変動する
    変動比率強化)したほうが、報酬に対する期待がより高まり効果が上がる
    (例:総体的に見ると3回に1回の割合で強化子が出てくるが、実際には続けて出
    てくることがあったり、休みが1回だけだったり、3回あったりなど、強化子が出て
    くるか出てこないかを予想できないようにするやり方)
 5.犬のしつけにあたって知っておくべきこと

犬の反応の確実性は、場所や状況が変わると変化する
→場所や指示する人が変われば、その反応の頻度は低下する(犬は般化が苦手

  • 犬のしつけは基本的に家族全員でおこなう
  • いつもおこなっているところでできるようになったら、段階的にいろいろな場所で
    レッスンを進める
6.正の強化を使ってしつける方法が勧められる理由

犬に何かを教えるときに「正の強化」、すなわち「ほめる」ことを主体にした方法が勧
められる理由として、以下のもがあげられる。

  • 犬の反応(行動)が強化される(行動の頻度が上がる)
    →その行動をおこなうと良いことがある(ほめてもらえる)ということにより、将来
    起こる行動の頻度が高まり、確実性が増していく
  • 犬の自発的な行動がさまたげられない
    →望ましい行動をほめることにより、行動を制限せず、自分で考えて自発的に行
    動をし続けるようにする
  • トレーニングの経験が報酬と直結する
    →犬が可能な限り成功するように、そのしつけをおこなう環境整備が大切
  • ほとんどの人ができる方法である
    →ほめることは、高齢者でも子どもでも、家族のほとんどができる方法である。逆
    に家族全員が同じように犬を叱ることはなかなか困難
  • リスクが少ない安全な方法である
    →叱ることで恐怖反応が増強されたり、攻撃性を引き起こしたりすることもある。
    また、その罰刺激が強い強度で与えられると、身体的に傷害を生じることがある
    などのリスクがある
  • 周囲の人が不快でない方法である
    →公園などの公共の場所で、大声で叱ったり、怒鳴ったりすることは周囲の人びと
    に不快感を与えかねない
 7.犬を叱ることについて

罰(嫌悪刺激)を用いたトレーニングは、動物福祉的側面から、あるいはその副次的
効果からできるだけ避けるようにするべきであると考えられる。

<なぜ罰を用いたトレーニングは勧められないのか>

  • タイミングが難しい
    →行動発現と罰の呈示は非常に厳密におこなわれる必要がある
    (通常は行動発現から1秒以内に罰を行使しなければ関連づけは起こらない)
  • 罰を用いることによって不適切な行動が増える
    →不適切な行動すべてに罰を与えられない場合、結果として不適切な行動の維
    持、増加につながる
  • 罰は適切な強度で与えることが難しい
  • 罰刺激による身体的損傷が起こりかねない
  • 罰によって恐怖反応や攻撃性が増加する可能性がある
  • 罰を与えた人や与えた状況と関連づけを引き起こす
    →罰を与えた人が現れたり、その状況に近くなっただけで、恐怖反応や攻撃行動
    などの望ましくない行動を示す可能性がある
  • 罰だけでは好ましい行動を教えることはできない
    →罰を使うときの重大な問題点は、不適切な行動の発現が引き起こされることの
    解決に決してならないことである。行動の変化は望ましい行動を強化することでし
    か得られない

犬のしつけで最も重要なことは、犬が喜んで飼い主の指示に従うようになることである。
望ましい行動を引き出し、その行動をほめてやることが大事

 3匹の子犬

以上

 

 


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