1.からだの成り立ち
(1)細胞
からだを構成する最小単位は細胞である。細胞にはさまざまな種類があり、大きさや
形も異なるが、基本的構造はどれも同じで、遺伝情報(遺伝子)を蓄えている核、細胞
を包んでいる細胞膜、各種活動を担っている細胞小器官がある。
<細胞小器官の構造と働き>
構造上の特徴 | 主な働き | ||
---|---|---|---|
核 | ふつうは直径5~10マイクロメートルの球状体 で、1細胞に1個存在する。多数の穴(核膜孔) を持つ二重の膜(核膜)で包まれ、染色質 (糸状の染色体)・核小体・核液を含む。 染色質はDNAとたんぱく質でできている。 | 細胞全体の代謝を調節、支配している。 DNAは遺伝子の本体である。 |
|
細胞膜 | 暑さ8~10nm(ナノメートル) | 細胞への物質の出入りに関係している | |
細胞小器官 | ミトコンドリア | 粒状または糸状で、内外二重の膜に包まれている。 内膜は内部に突出し、ひだ状になっている(クリ ステ)。1細胞に数百~数千個存在している | ATP(アデノシン三リン酸)を生産する 場。クエン酸回路や電子(水素)伝達系 はここにある |
小胞体 | たくさんの長い袋が相互につながって網目のよう に広がっている。複雑な膜構造で核膜ともつな がっている。リボソームが付着している粗面小胞 体と、リボソームが付着していない滑面小胞体と がある。 | 物質の合成(主にたんぱく質と脂質)と 輸送 |
|
ゴルジ体 | 平たい円盤状の袋が重なってできており、小胞(ゴ ルジ小胞)を伴っている | 小胞体から運ばれてきた物質に変化を 加え、他の場所へ運搬する(細胞外へ運 ぶ場合が分泌) |
|
リソソーム | 各種の加水分解酵素を含む一重膜の小さな水泡 | 細胞外から取り込んだ大きな分子や、 不要になった細胞小器官などを分解す る(細胞内消化) |
|
中心体 | 棒状の2個の中心粒(中心小体)からなる | 細胞分裂のときに両極に分かれて染色 体の分裂に関係する |
|
リボソーム | RNAとたんぱく質からなるだるま形で、直径15 ~20nmの小体。小胞体の表面に付着している | 核からの情報によってたんぱく質を合 成する |
(2)組織
同じような働きを持つ細胞が集まり、特定の配列に並んで組織を形成している。
- 上皮組織: からだの表面や器官の内外をおおって内部を保護したり、吸収や分泌
外部からの刺激をキャッチするなどの働きをする。細胞が密接して並び、血管はと
おっていない - 結合組織: 各組織や器官の間を埋め、つなぎ合わせる組織。骨組織や軟骨組織
のような、からだの支柱になる固形のものから、血液やリンパ液など液体性のもの
まで、さまざまな形のものがある - 筋肉組織: 自分の意志によって動かすことのできる骨格筋と、意志にかかわらず
動く心筋と平滑筋に分けられ、からだや内臓の自動運動を営む。筋肉細胞は、細長
い線維状をしていることから、筋線維ともよばれる - 神経組織: 中枢神経(脳・脊髄)と、全身にはりめぐらされた末梢神経を構成する
組織
(3)器官
いくつかの異なる組織が集まって、一定の形と働きを持った器官が形成される。
機能的に共通性がある器官が器官系をつくり働く。
- 皮膚系: 皮膚、毛、爪
- 神経系: 脳、脊髄、運動神経、感覚神経
- 感覚器系: 目、耳
- 骨格系: 頭骨、脊椎骨、四肢の骨
- 筋肉系: 骨格筋、心筋
- 循環器系: 心臓、血管、リンパ管
- 泌尿器系: 腎臓、膀胱
- 生殖器系: 卵巣、精巣
- 消化器系: 胃、小腸、大腸、肝臓
- 呼吸器系: 肺、気管
- 内分泌系: 甲状腺、副腎、脳下垂体
2.からだを包むもの
- 皮膚: からだを包み、外界の刺激などから保護する。
物質の出し入れ(汗による水や老廃物の排出など)、汗の蒸発による体温調節、痛
みなどに対する皮膚感覚などの機能を持つ - 粘膜: 組織や器官の内面をおおい、常に粘液の分泌によって湿り気を保つ
- 毛: 哺乳類だけにみられ、保温や皮膚を保護する防具となるだけでなく、顔面部
にある一部の毛(猫のひげなど)は感覚器にもなっている - 爪: 人など多くの霊長類の爪は扁平な平爪、それ以外の動物の爪は鋭くとがった
鉤(かぎ)づめである(ウマやシカなど有蹄類の爪は「蹄(ひづめ)」とよばれる) - 肉球: 犬や猫などにあり、歩行の際に地面からの反動を軽くするクッションの役割
を果たす - 皮膚腺:
-皮脂腺・・・皮脂を分泌し、毛の防水性を高めるとともに、フェロモンとして機能する
-汗腺・・・汗を分泌する腺で、毛根に開口してにおいのある粘性の汗を分泌する大
汗腺(アポクリン腺)と小汗腺(エクリン腺)の2種類がある
3.からだを支え、動かす
- 骨格: からだを支持する構造であり、多数の骨から組み立てられている。組み立て
部は可動性の関節となっているので、それに付着する筋肉によって動かすことがで
き、さまざまな運動が可能となる - 筋肉:
-随意筋(自分の意志で動かせる)・・・骨格筋は骨格に付着し、運動をおこなう
-不随意筋(自分の意志とは関係なしに動く)・・・平滑筋(消化器などの臓器や血管
壁の筋肉)と心筋(心臓を動かす筋肉)がある
以上
スポンサードリンク