1.健康とは

<人の健康の定義(世界保健機関(WHO))>

身体的、精神的、社会的にも完全に良好(健全)な状態

豊かな感性と心身のたくましさを持ち、社会に適応し、質の高い生活(QOL:Quolity of
life)を送ることができる状態

→人だけでなく、「家庭動物」などにも適用

2.疾病とは

生物が全身的に、あるいは体の一部になんらかの原因により異常をきたして、正常機
能を営むことが出来なくなった状態

  • 先天性/後天性
  • 感染性/非感染性

 疾病の発生には、(1)宿主要因、(2)病因要因、(3)環境要因が相互に影響しあいながら
(=相互作用)、かかわりあっている
疾病の多要因病因論

宿主病因環境の相互作用とバランス模式図

(1)宿主要因

  • 遺伝的要因:性、年齢、品種、系統など
  • 身体的要因:抵抗性(体力)、免疫、既往症、不妊・去勢手術の有無など
  • 精神的要因:性格、行動型、ストレスなど

※宿主(しゅくしゅ)・・・人、動物、植物など、微生物や寄生虫などの寄生生物が、自然
条件下で寄生する対象となる生物のこと。

(2)病因要因

  • 生物的病因要因:細菌、ウイルス、真菌、寄生虫などの種類・数・病原性の強さなど
  • 理化学的病因要因:異常温湿度、放射線、農薬、PCB、ダイオキシン、内分泌撹乱
    物質などの環境汚染化学物質の種類・量・毒性の強さなど

(3)環境要因

  • 生物的環境要因:その地域に存在する動物、植物、微生物などの種類と数など
  • 理化学的環境要因:気温、気湿、日照、地形、高度、紫外線などの状態
  • 社会的環境要因:都市、農山村、交通量、居住条件、人口密度、家族状況、社会状
    況、職業、産業、文化、宗教、動物の飼養目的、動物飼養者の経済状態、価値観
    医療水準、自然災害時の対応の仕方、各種環境要因に基づくストレスなど
3.健康増進と疾病予防の基本的考え方

すべての生物は、自分が達しうる最高の健康のレベルが保たれている状態(これを仮に
健康度100とする)と、健康が全く残されていない健康度0(ゼロ)の状態(死)を結ぶ曲線
(健康度曲線)のどこかに存在する。

 宿主の健康管理のポイント図

ホメオスタシス・・・外部環境が変化しても内部環境を常に一定に保とうとする生体の
しくみ
例:真冬のような寒い季節の室外において、外部に露出した手や顔の部分の温度は低
下するが、体内の温度は一定に保たれる。

4.感染と免疫

(1)感染: 細菌・ウイルス・原虫などの微生物が宿主の体内に侵入して増殖した状態
→感染の結果、生じた疾病を感染症(あるいは伝染病)、罹患した個体を罹患動物(人
の場合は患者)という。
→感染の結果、何ら症状を示すことなく感染状態を続けることを不顕性感染、その状態
にある個体を保菌動物(保菌者)という。

(2)免疫: 生体が微生物に対して感染防御能力を維持している状態。

抗原: 犬や猫などの脊椎動物は、体内に体の成分とは異なるものが侵入するとそ
の異物を排除して体の状態を一定に保とうとする働きをもっている。異物のうち、体
内に入ると、抗体という物質を産生させ、かつその抗体とのみ選択的(特異的)に反
応する性質を持つ物質→例:細菌やウイルスなどの微生物、鶏卵などの食品

抗体: 侵入した病原体(抗原)と特異的に反応する物質(化学物質名:免疫グロブリ
ン)であり、多くは微生物の感染を防御する働きを持つ。

  • 体液性免疫: 血液やその他の体液中の抗体が感染防御の役割を担っている状態
  • 細胞性免疫: 細胞の中に寄生する性質を持つウイルスや細菌に対して、白血球
    (リンパ球など)が感染防御の役割を担っている状態

予防接種: 病原性を弱めたり失わせたりした微生物や、その成分などから作られた
ワクチンを、人工的に動物の体内に接種することによって動物を免疫状態にし、その微
生物に対する感染防御を図る方法

5.消毒・滅菌法
  • 消毒(殺菌): 病原性微生物を殺滅、または減弱させて感染する力を失わせること。
  • 滅菌: 病原性微生物のみならず、全ての微生物を殺滅、または除去すること。
  1. 物理的方法
    1)焼却: 滅菌法の一つ。対象物を完全に灰化するまで焼却する。
    2)煮沸消毒: 沸騰した水中で15~30分間煮沸する。
    3)蒸気消毒: 蒸し器を用いて、器具内部の空気と蒸気が完全に入れ替わってから
    30分間以上加熱する。
    4)高圧蒸気滅菌: オートクレーブとよばれる高圧釜を用いて、121℃で15分間加熱
    する。
    5)紫外線消毒
    6)ろ過滅菌
    7)放射線滅菌
    など

  2. 化学的方法
    1)アルコール類(エタノール、イソプロパノールなど)
    2)逆性石鹸(陽イオン性界面活性剤)
    3)両性石鹸(両性界面活性剤)
    4)クレゾール石鹸液
    5次亜塩素酸ソーダ
    6)消石灰
    7)ガス滅菌(エチレンオキサイド)
    など

 薬箱と動物たち

以上

 

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