1.環境衛生
飼養動物がおかれる環境状態を左右する要因は、自然環境要因と人為的環境要因に大
別される。
(1)自然環境要因
- 日照
- 気温
- 湿度
- 空気・水・土
(2)人為的環境要因
- 動物飼養場所(動物管理施設)
- 廃棄物と悪臭
- 環境汚染物質(排気ガス・水中の有害物質)
2.飼養衛生
(1)動物の栄養
1)栄養素
- たんぱく質・・・細胞、諸器官を構成し形態を維持、および生体反応に係る
ホルモン、酵素等 - 炭水化物・・・活動エネルギー源、体内で脂肪に変換
- 脂肪・・・濃縮されたエネルギー源、嗜好性や口当たりの良さを与える
- ビタミン・・・体内では合成されない必須栄養素
→必須ビタミンは動物種により異なる - ミネラル・・・生理、代謝上必須の元素
- 水・・・一般的には栄養素とみなされないが、生命維持のために必須
2)栄養の要求量
- ライフステージと栄養要求量: 幼齢期、成長・発育期、繁殖期、高齢期などのライ
フステージによって、栄養の要求量やバランスが異なる。 - 栄養要求量に関連する要因: 環境ストレス(暑熱、寒冷など)、精神的・身体的スト
レス(輸送、飼養場の変更などによる)
3)栄養障害
- たんぱく質欠乏症
- 脂肪酸欠乏症
- ビタミン欠乏症と過剰症
- ミネラル欠乏症と過剰症、および不均衡障害
(2)動物の飼料
1)愛玩動物の飼料の内容と与え方
- 飼料の内容: 動物性(乳肉、水産食品など)と植物性(穀類、野菜など)に大別さ
れる - 与える量、与え方: 動物の種類やライフステージなどで大きく異なる場合がある
2)ペットフードの原材料
3)動物に健康障害をもたらすおそれのある飼料・原材料および有害成分など
4)飼料の腐敗・変敗・カビ毒による中毒
5)飼料取り扱い上の注意
(3)動物の飲料水
(4)ペットフードの表示
犬用・猫用フードは商品名、原産国名、賞味期限、原材料名(添加物を含む使用した
全ての原材料)、事業者名などを表示しなければならない(ペットフード安全法)。
3.管理衛生
(1)飼養形態からみた管理衛生
多頭飼養による感染症の拡大の阻止→ワクチン接種、適度な運動と日光浴
(2)飼養施設からみた管理衛生
動物の生理・生態・習性を考慮した施設
ストレスを与えない収容密度、容易に逃亡できない構造
(3)輸送時の注意
- 移動前の給餌は避ける
- 常時観察と適当な休息
- 輸送中のストレスを考慮
- 熱うつ状態に注意
- 日常的な動作を容易におこなうことができるスペースの確保(自然に立ち上がり
横たわり方向転換できる)
4.動物の飼養に伴う公衆衛生・社会生活上の問題
<犬や猫などの飼養が嫌われる主な理由>
生活妨害 | ・鳴き声 ・他人の敷地や家屋などへの浸入 ・ゴミなどの食い散らかし ・農作物や家畜・野生動物の被害など |
不潔感および 衛生上の問題 | 人と動物の共通感染症、排泄物、分泌物、汚物、悪臭、抜け毛、衛生害虫などによる 生活環境の悪化や健康障害など |
咬傷などへの 恐怖感 | ・放し飼いや逸走による放浪 ・近寄ってくる ・吠え声による威嚇など |
その他 | 虐待や遺棄などの行為による、教育や人心への悪影響 |
以上
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